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忘れてはイケナイ物語り

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昨日、今週末30日(土)から始まる『野坂昭如 戦争童話集』原画展の告知をさせて頂きましたが、今回の展覧会について少し。

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原作が「婦人公論」に連載されたのは1971年。その前年は70年安保の年でしたが、60年の時のような混乱よりも世のは万博景気に沸き、高度成長のもたらした豊かな時代を謳歌していました。

日本中で「戦争」を遠い記憶にしようとしたとき、警告するかのように原作の連載は始まりました。

黒田征太郎は「戦争童話集」を何度も読み返すうち、「戦争はずっと続いてしまっている"戦後"などと簡単にいうけれども"戦後なんて地球上に一度もおとずれていない"」と。

キリのいい節目にケリをつけてしまおう。などとならぬように、遠い記憶にしてしまわぬために「戦争童話集」の映像化を思い立ち、黒田の思いを受け取った人達が集まって、1994年夏、「戦争童話集」に絵と音を重ね、キラキラした目の子ども達に確実に手渡されていく"バトン"を仕上げることを制作者たちは決意し、2000年まで映像化プロジェクトが続けられ、12話の映像が完成しました。

戦争は弱いものから順に巻き込んで犠牲にしてゆくのだ。ということを、原作は繰り返し書かれています。この弱いものは、子ども、女性、お年寄りだけではありません。

「戦争童話集」は、犠牲になったのは弱いものは人間だけでなく、動物や虫にもおよびます。 決して人間だけでは無いのです。

12話すべてが"昭和二十年八月十五日"から始まる「戦争童話集」。 制作から22年経ったいま、"いま"はどうでしょうか。 遠い記憶になったでしょうか。 "戦後なんて地球上に一度もおとずれていない"のです。

飛行機で10時間も飛べば戦場にたどり着きます。 忘れてはイケナイことがあります。

黒田は変わらず「野坂昭如 戦争童話集」をヒステリックではなく絵や音で伝え続けています。

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すべての原画を展示することは出来ませんが、映像制作中のドキュメントの展示と合わせて会場内で戦争童話集 ダイジェスト版の映像を投影します。

現在KAKIBAは展示替えとなっております。 展覧会までもう少々お待ちください。

 


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